三日目

部屋を片付けてたら一日が終わっていた。ヤバいヤバい。

 

・今日見た映画以外

地球戦隊ファイブマン』1話

 戦隊シリーズのパイロットフィルムでのお勧めは間違いなくファイブマン。世間だと「前半はイマイチ」という評価で今ひとつ顧みられないイメージがあるが、1~2話は間違いなく戦隊史に残るだろう傑作。

 敵である銀帝軍ゾーンによって滅ぼされたとある惑星を復興する場面から物語は始まるが、幼い兄弟とまだ健在である両親の和やか写真が画面に映し出されたと同時に現れる「五兄弟戦士」というサブタイトルの文字が、これから訪れる波乱と戦いを予感させ、まずここで視聴者を惹きつける。最初の数分で「この話は一味違う!」と思わせるのだから、巨匠・長石多可男の実力を否応無しに意識せざるを得ない。

 特筆すべき点は、学(ファイブレッド)のキャラ立てだ。ゾーンの襲撃に際し、幼い学は敵の親玉であるガロア艦長の額を銃撃するのだが、戦士としての強さとリーダーの資質を印象付けている。*1しかし学はその一方で銃を撃つときも、両親から離れるときも、ただただ泣き続けており、戦士としての強さと、人間としての弱さを同時に持っている人間なのだ。

 彼のキャラを深めるアイテムとして、1話では「花」が用いられている。惑星の復興のために星川夫妻は滅亡した惑星に花を植えていた。彼は成長して理科の先生になるのだが、そこでも幼き日に育てていた花と同じ花を愛していた。この花は平和のメタファーとして使われているだけでなく、学の人間としての優しさ、両親から受け継いだ遺志、そして彼のトラウマまでをも象徴している。花を出すだけで、これほどの背景を想起させるのかと、驚かざるを得ない。

 戦隊シリーズは5人いるからこそ、1話でなかなかキャラ全部を印象付けるのは難しい。それぞれの紹介で使ってしまうことも多々あるが、レッドを印象付けた1話はより魅力的に見える印象がある。チーフの度量を描いた『ボウケンジャー』やマーベラスの不敵さを印象付けた『ゴーカイジャー』などは、初回の求心力がワンランク高い。勿論毎年そればかりやってしまう訳にもいかないにせよ、一話でレッドを掘り下げるという手法は、個人的には有効であると思うのだ。

 もう一つ特筆すべき点がアーサーG6。彼は戦隊シリーズに付き物のお手伝いロボットなのだけれど、もう一人の母親として兄弟を成長させようと決意するシーンに、思わずホロリとさせられてしまった。彼の存在が、物語の奥行きを更に深めている。

 また物語の構造としても、冒頭で数多の星を滅ぼす強者としてゾーンを描き、だからこそラストで颯爽とゾーン軍を撃破していく描写が痛快になる。この辺のバランス感覚も巧みだ。展開から描写に至るまで、隙のない一話に仕上がっていると言っていいだろう。

 

 ファイブマンについてもう一つ特筆しておきたいのがエンディングだ。本編では描かれない星川兄弟の成長を、数カットで描いているのだが、彼らの足跡を想像させ、物語の時間の経過を上手く補完している。OP・EDパートに新たな価値付けをしていることに感心するのと同時に、彼らの成長に感動してしまうのだよなあ。『ママは小学4年生』のオープニングでも同じようなシーンがあるけど、これも主人公の成長を想像させて気持ちが良い。

*1:今だったらこういう描写は出来ないのだろうが