九日目

 休日になると何もしていない。いい加減にしましょう。

 

・今日見た映画

ライアーゲーム -再生-』

 うーん。

 

 僕はこのシリーズのファンで、それは松田翔太演ずる秋山深一のキャラクターに痺れているからに他ならない。一人の強力なキャラクターさえいればシリーズが牽引できるという事は古くから良くあることで、キャスト一新で新作を作ると聞いたときも、「秋山さえいれば作品として成立する」と思った。こうして見終えても、やはり秋山の強烈なキャラクターによって作品の出来がワンランク上がっていると感じた。少なくとも彼のファンである僕は変わらぬ彼の姿を見ることが出来、満足した。

 また、多部未華子扮する新ヒロインも、キャラクターとしてはいまひとつ特徴が無いのが残念ではあるが、神埼直とはポジションが近いながらも異にしていて、彼女が秋山を裏切ったとき、同時に僕も「裏切られた!」と思わずにはいられなかった。そうした彼女が、結果として秋山に協力していく気持ち良さも、本作にはある。

 

 ただ。何が問題かというと、新シリーズの一作目という認識で見たのだが、過去のシリーズを引きずっている印象がやはり、ぬぐえないのだ。そこが勿体無い。勿論シリーズとして継続的に取り入れなければいけない部分はあるのだが、例えば「負けるほうが余裕ぶる」という展開が本シリーズでは多用される。そのリアクション芸がシリーズの面白さの一つであるが、さすがにワンパターンで代わり映えがしない。これがテレビシリーズぐらいまでだと、様式美として了解されうるレベルであるが、リブートでまで同じことを何度もやられると辟易してしまう。秋山以外の旧キャラクターも実況・解説的なポジションとして登場するが、彼らもいてもいなくてもいい存在であり、キャラクターの人気だけを借りようとポンと出て来た事が、旧作への執着というか、新シリーズを作ろうという気概をあんまり感じさられせなくて残念だった。

 それと本作がいまひとつ面白みに欠ける理由が、新井浩が演じている本作のライバルに、あまりに敵役としての魅力を感じない部分にあるのではないだろうか。勿論彼が有利に運び、主人公チームが窮地に陥る展開は存在するのだが、敵としての強大さの強調には失敗している印象があり、結果的に「秋山がミスした」という印象にしか至らないのが歯痒い。傑物そうな印象が彼に無いわけではないが、「強そう」以上の存在感は、彼からは感じなかった。そのためか、本作はどうも緊張感に欠ける。唯一ヒロインが敵に回る展開は、前作の事もあり、どうなってしまうのかと手に汗を握ったが、その展開の結末も肩透かしだし、それ以外に至ってはほぼ完全に秋山を中心に物語が回っているようにしか見えない。松田翔太のムービーとしては一級品だが、映画としてはいまひとつ乗り切れない出来だ。

 

 余談だが、『獣電戦隊キョウリュウジャー』でキング役を演じていた竜星涼が、ひ弱な大学生役を演じている。『俺たち賞金稼ぎ団』でもそういう役を演じていたと思うが、彼の新たな一面が垣間見えるのでお勧め。殆ど映らないけどね。